・・・ 二、純粋な動機で批評すれば、或る月には、或る作品について多く書かれ、又、或る月は、沈黙であると云うことが、存在の可否などを論じさせない自然な、本当の状態であると思います。〔一九二二年一月〕・・・ 宮本百合子 「純粋な動機なら好い」
・・・日本の大衆の誰もが戦争の可否について議論し、一票を投じ、決心して参加した戦であったなら、その歴史的意義と個人の運命への影響を反省もし、そこから人間らしい何かをくみとることも可能な経験だったろう。ところがそうではなかった。頭から脳髄をとり、心・・・ 宮本百合子 「女性の歴史」
・・・ 抑々、産児制限などと云う問題は、総論として一朝一夕に可否を断定し得ないものではありますまいか。それを現在の社会状態に鑑みて是とする者、愛国主義、或は軍備主義の尊重から、国家滅亡論として極端に拒絶する者。又、実際、それに対する箇人の道徳・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・ 何についても、斯様な、安らかな協力があると思います。下婢を雇わない二人ぎりの家庭では、必ず妻が独りで食事の準備をすべきものとは思っていません。一緒に、何でも二人のために都合よくと考えて行動します。故に、或る場合には、大局に於て結果のよ・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
出典:青空文庫