×すべて背景を用いない。宦官が二人話しながら出て来る。 ――今月も生み月になっている妃が六人いるのですからね。身重になっているのを勘定したら何十人いるかわかりませんよ。 ――それは皆、・・・ 芥川竜之介 「青年と死」
・・・たく、以下、二三言、私、明けて二十八年間、十六歳の秋より四十四歳の現在まで、津島家出入りの貧しき商人、全く無学の者に候が、御無礼せんえつ、わきまえつつの苦言、いまは延々すべき時に非ずと心得られ候まま、汗顔平伏、お耳につらきこと開陳、暫時、お・・・ 太宰治 「帰去来」
・・・たく、以下、二三言、私、明けて二十八年間、十六歳の秋より四十四歳の現在まで、津島家出入りの貧しき商人、全く無学の者に候が、御無礼せんえつ、わきまえつつの苦言、今は延々すべきときに非ずと心得られ候まま、汗顔平伏、お耳につらきこと開陳、暫時、お・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・むかしの私だったら、この種の原稿の依頼に対しては汗顔平伏して御辞退申し上げるに違いないのであるが、このごろの私は少し変った。日本のために、自分の力の全部を出し切らなければならぬ。小説界と映画界とは、そんなに遠く隔絶せられた世界でもない。小説・・・ 太宰治 「芸術ぎらい」
・・・最も真面目な教訓の一つでもあった。汗顔の至り、という東洋の適切な形容のことばを我身にひきそえて感じた人々は、世界にどっさりおり、日本の中にもたくさんいただろう。この日ごろ日本の新聞としての公器性が失われていることを遺憾に思っている真面目な人・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・ これらの人々が、もし作品にあらわれた右翼的危険との闘争を一般同伴者的作家への突撃であるという風に勘違いをしたとすれば、それはまことに中條の論文における未熟さにおいて汗顔ものであると同時に、同志たちの立場としても、相当記憶にのこるべき滑・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・ 超人であろうとする小市民性 プレハーノフp.36 芥川は「生活的宦官に生れた彼自身を軽蔑しずにいられなかった」 「天上から地上へのぼるために無残にもおれた梯子である」芥川 敗北の文学 「小ブル・・・ 宮本百合子 「「敗北の文学」について」
出典:青空文庫