・・・けだしこの学を世におしひろめんには、学校の規律を彼に取り、生徒を教道するを先務とす。よって吾が党の士、相ともに謀りて、私にかの共立学校の制にならい、一小区の学舎を設け、これを創立の年号に取りてかりに慶応義塾と名づく。 ことし四月某日、土・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾の記」
・・・ここらがどうも烏の軍隊の不規律なところです。 烏の大尉は、杜のすぐ近くまで行って、左に曲がりました。 そのとき烏の大監督が、「大砲撃てっ。」と号令しました。 艦隊は一斉に、があがあがあがあ、大砲をうちました。 大砲をうつとき・・・ 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
・・・はっはっは、どうだ、もっともそれはおれのように勢力不滅の法則や熱力学第二則がわかるとあんまりおかしくもないがね、どうだ、ぼくの軍隊は規律がいいだろう。軍歌にもちゃんとそう云ってあるんだ。」 でんしんばしらは、みんなまっすぐを向いて、すま・・・ 宮沢賢治 「月夜のでんしんばしら」
・・・「工場学校では、若い生徒の体が健康に成長するように、三十分起立して作業すると、十五分は腰かけて仕事をする規則なのです」ソヴェトの世の中になってこそ、ほんとに若い男女の勤労者の幸福はくるのだ。つよくそう思わずにいられなかった。私はドイツで・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・・一六などの後、運動の困難と再建の事業が集注的関心となった時代には、コロンタイズムは一応揚棄され、運動のためにはあらゆる個人の感情、個人生活の利害を犠牲にしなければならぬものであるという、いわゆる鉄の規律が一般の理解におかれた。 片岡鉄・・・ 宮本百合子 「新しい一夫一婦」
・・・ したがって、八月十五日までは勤労動員で奴隷的労働をしていた青年労働者たちが、三ヵ月ののち、そこに出来た労働組合の青年部員と組織されたにしても、その気持がすっぱりと階級の意識と階級の規律とにつらぬかれた青年労働者として転換しないのはやむ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・国民消費としてひっくるめていえば、人口には女も入って、女の酒、女の煙草も、これまで内務省や文部省が保健と精神規律の上からそれを眺めていたとは異った角度でながめられようというのであろうか。 銃後の婦人に求められている緊張、活動とその性質と・・・ 宮本百合子 「祭日ならざる日々」
・・・ 閉じこめられたまま清純のまま続いていたジイドの青春は、二十四歳の時、突然その清教徒的規律を破った。彼は在来の周囲に激しい厭悪を感じて友人のロオランとチュニスに旅立った。この船出は、地理上の旅行であるばかりでなく、フランス中産階級の生活・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・ピオニェール、コムソモール、自覚ある婦人労働者などはいろんな社会的規律の改善にいつも先へ立って活動する。禁酒奨励運動では、女と子供が実によく働いてる。可愛いピオニェールになってる自分の息子や娘達が凜々しく隊伍を組んで雪ん中を「酔っ払い親父を・・・ 宮本百合子 「正月とソヴェト勤労婦人」
・・・ 討論は到頭男の子と女の子と、どっちが規律正しい生活が出来るか、ソヴェト権力はどんなにプロレタリアートの自覚ある規則を必要とするかというところまで進展し、ニーナ対アリョーシャの問題はこう決定する。「ニーナが机の中をいつもひっ散らかし・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
出典:青空文庫