・・・あるいは今の政府の財政困難にして、帝室費をも増すにいとまあらずといわんか。極度の場合においては、国庫の出納を毫も増減せずして、実際の事は挙行すべし。 その法、他なし、文部省、工部省の学校を分離して御有となすときは、本省においては、従来学・・・ 福沢諭吉 「学問の独立」
・・・その細目にいたりては、一年農作の飢饉にあえば、これを救うの術を施し、一時、商況の不景気を見れば、その回復の法をはかり、敵国外患の警を聞けばただちに兵を足し、事、平和に帰すれば、また財政を脩むる等、左顧右視、臨機応変、一日片時も怠慢に附すべか・・・ 福沢諭吉 「政事と教育と分離すべし」
・・・が五十日間上演されて、東宝の財政をうるおした。 興味深いものは、私たちが今日面している人間性解放の現実的諸要素の構成と、ルネッサンス芸術家としてのシェクスピアの世界での人間解放とが、どのようにたがいに似ていて、しかも絶対に異った歴史の内・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・[自注17]大変嬉しい計画――親孝行の計画も財政不如意で今日まで実現していない。 八月二十日 〔市ヶ谷刑務所の顕治宛 駒込林町より〕 八月二十日。今日「夜明け前」の後篇とロンドンの「ホワイト・フアング」の訳とドーデエ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・今日の日本の財政のまかない手である蔵相はラジオで放送して、銃後の民の心がけというものをとかれた。輸入品の節約をするように。国産品も節約をするように。だが酒、煙草、絹はどうか遠慮なくつかうようにと。 私たちは学校の家事でも、節約ということ・・・ 宮本百合子 「祭日ならざる日々」
・・・政治、経済、財政上の諸問題は、私が敢て足を踏みいれることに危惧の念を抱かざるを得ぬ分野に属する」これは、ジイドにとって、コンゴー当時からの態度である。一九三五年パリで行われた「文化擁護国際作家会議」でも、ジイドは作家としての「自分の中に持っ・・・ 宮本百合子 「ジイドとそのソヴェト旅行記」
・・・まして、すべての新劇団が、一九五〇年は五・六月ごろから著しく財政困難に陥って、熱心で技量のある俳優たちが無給で奮闘している現在、芝居に新しい息吹きが加えられることになれば、それはいいことだと思う。ジャーナリズムのるつうさと「非常に職業化して・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」
・・・子爵は財政が割合に豊かなので、嫡子に外国で学生並の生活をさせる位の事には、さ程困難を感ぜないからである。 洋行すると云うことになってから、余程元気附いて来た秀麿が、途中からよこした手紙も、ベルリンに著いてからのも、総ての周囲の物に興味を・・・ 森鴎外 「かのように」
・・・デクレスはナポレオンの征戦に次ぐ征戦のため、フランス国の財政の欠乏の人口の減少と、人民の怨嗟と、戦いに対する国民の飽満とを指摘してナポレオンに詰め寄った。だが、ナポレオンはヨーロッパの平和克復の使命を楯にとって応じなかった。デクレスは最後に・・・ 横光利一 「ナポレオンと田虫」
出典:青空文庫