・・・ 日本の歴史学は、まだ大塚史学の伝統をとりのぞいて正しく科学としての日本の歴史学に発展するところまでいっていません。『国のあゆみ』『民主主義』読本に対する監視と批判は、決して新学期に際してだけの季節的行事であってはならないと思います。今・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・スクロドフスキー教授の末娘、小さい勝気なマリア・スクロドフスカとして、露帝がポーランド言葉で授業を受けることを禁じている小学校で政府の視学官の前に立たされ、意地悪い屈辱的な質問に一点もたじろがず答えはしたが、その視学官が去ってしまうと、今ま・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人」
・・・ 伝記を読んだ方々には御承知の通りに、マリヤは、ポーランドの首府ワルソーで中学校の物理の先生をする傍副視学官をつとめていたスクロドフスキーの四人娘の末っ子として生れました。西暦一八六七年十一月に生れたから、日本が明治元年を迎えた時です。・・・ 宮本百合子 「キュリー夫人の命の焔」
・・・確かに婦人の役人は以前より増えましたが、数人の良心的な婦人視学がいたからといって六・三制の困難が改善されぬ事実を発見しました。 婦人代議士はインフレーションを防ぐためにまだ力がありませんし、総ての家庭が苦しんでいる酷い税の問題についても・・・ 宮本百合子 「平和を保つため」
・・・の期にはこれこれの講義を聴くと云うことを、精しく子爵の所へ知らせてよこしたが、その中にはイタリア復興時代だとか、宗教革新の起原だとか云うような、歴史その物の講義と、史的研究の原理と云うような、抽象的な史学の講義とがあるかと思うと、民族心理学・・・ 森鴎外 「かのように」
出典:青空文庫