・・・ お昼すぎ、飯盒で炊いた飯を食い、コック上りの吉田が豚肉でこしらえてよこしたハムを罐切りナイフで切って食った。浜田は、そのあまりを、新しい手拭いに包んで、××兵にむかって投げてやった。「そら、うめえものをやるぞ!」と、彼は支那語で叫・・・ 黒島伝治 「前哨」
・・・ お昼すぎ、飯盒で炊いた飯を食い、コック上りの吉田が豚肉でこしらえてよこしたハムを罐切りナイフで切って食った。浜田は、そのあまりを、新しい手拭いに包んで、××兵にむかって投げてやった。「そら、うめえものをやるぞ!」と、彼は支那語で叫・・・ 黒島伝治 「前哨」
・・・それでハムやベーコンは誰れが食うと思う。みんな将校が占領するんだ。――俺達はその悪い役目さ。」 吉原は暖炉のそばでほざいていた。 飼主が――それはシベリア土着の百姓だった――徴発されて行く家畜を見て、胸をかき切らぬばかりに苦るしむ有・・・ 黒島伝治 「橇」
・・・それでハムやベーコンは誰れが食うと思う。みんな将校が占領するんだ。――俺達はその悪い役目さ。」 吉原は暖炉のそばでほざいていた。 飼主が――それはシベリア土着の百姓だった――徴発されて行く家畜を見て、胸をかき切らぬばかりに苦るしむ有・・・ 黒島伝治 「橇」
・・・お皿ひとつひとつに、それぞれ、ハムや卵や、パセリや、キャベツ、ほうれんそう、お台所に残って在るもの一切合切、いろとりどりに、美しく配合させて、手際よく並べて出すのであって、手数は要らず、経済だし、ちっとも、おいしくはないけれども、でも食卓は・・・ 太宰治 「女生徒」
・・・お皿ひとつひとつに、それぞれ、ハムや卵や、パセリや、キャベツ、ほうれんそう、お台所に残って在るもの一切合切、いろとりどりに、美しく配合させて、手際よく並べて出すのであって、手数は要らず、経済だし、ちっとも、おいしくはないけれども、でも食卓は・・・ 太宰治 「女生徒」
・・・ここに、パンが二つと、ハムが一つあるからね、途中でおなかがすいたら、食べるがいいや。何を愚図愚図しているんだね。」 王子は、あまりの嬉しさに思わず飛び上りました。ラプンツェルは母さんのように落ちついて、「ああ、この毛の長靴をおはき。・・・ 太宰治 「ろまん燈籠」
・・・ここに、パンが二つと、ハムが一つあるからね、途中でおなかがすいたら、食べるがいいや。何を愚図愚図しているんだね。」 王子は、あまりの嬉しさに思わず飛び上りました。ラプンツェルは母さんのように落ちついて、「ああ、この毛の長靴をおはき。・・・ 太宰治 「ろまん燈籠」
・・・すなわち氏はかつて徳川家の食を食む者にして、不幸にして自分は徳川の事に死するの機会を失うたれども、他人のこれに死するものあるを見れば慷慨惆悵自から禁ずる能わず、欽慕の余り遂に右の文字をも石に刻したることならん。 すでに他人の忠勇を嘉みす・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・それにミーロはハムを拵えれるからな。みんなでやるんだよ。」「姉さんは?」「姉さんも工場へ来るよ。」「そうかねえ。」「さあ行こう、今夜も確か来ているから。」 わたくしは俄かに疲れを忘れて立ちあがりました。「じゃ行こう。・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
出典:青空文庫