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・・・清さんはお袋と小声でぺちゃくちゃ話している。満蔵はあくびをしながら、「みんな色気があるからだめだ。省作さんがいれば、おとよさんもはま公も唄もうたわねいだもの」 満蔵は臆面もなくそんなことを言って濁笑いをやってる。実際満蔵の言うとおり・・・
伊藤左千夫
「隣の嫁」
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・・・ 以上炭の噂まで来ると二人は最初の木戸の事は最早口に出さないで何時しか元のお徳お源に立還りぺちゃくちゃと仲善く喋舌り合っていたところは埒も無い。 十一月の末だから日は短い盛で、主人真蔵が会社から帰ったのは最早暮れがかりであった。木戸・・・
国木田独歩
「竹の木戸」