・・・しかし事実において服装でも食物でも建物でもまたスポーツでもジャズでもチューインガムでも、現在滔々として日本の社会のあるレヴェルを押し流しているものはこういうアメリカ文化であるように見えるのは一体どういう訳のものであろうか。地球上層の風は西か・・・ 寺田寅彦 「チューインガム」
・・・ あまりに突飛な考えではあるが、人間のいろいろなスポーツの起原を遠い遠い灰色の昔までたどって行ったら、事によるとそれがやはりわれわれの種族の増殖の営みとなんらかの点でつながっていたのではないかという気がしてくるのである。 ・・・ 寺田寅彦 「藤棚の陰から」
・・・ 彼が高等学校にはいって以来今日まで通って来た道筋はしかしスポーツの世界とはあまりにかけ離れていた。そうして四十年近い空白を隔てて再び彼の歴史のページの上にバットやボールの影がさし始めたのはようやく昨今のことである。 昨年のある・・・ 寺田寅彦 「野球時代」
・・・ソヴェト同盟には工場図書館、スポーツ・サークルが発達していて、大体無料でいろいろのことができるが、食物、衣服はまだ無料とはゆかない。若い男や女の勤労者が、真に健康に、立派に階級の前衛として育つために、ソヴェト同盟では、男女青年労働者の待遇の・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・ほんとうにむき出しに自分たちを示すような勉強も調査もスポーツもされない窮屈さがのこっている。 昨日あたりから上野の美術館で婦人画家ばかりの展覧会が催おされている。芸術の世界で、婦人ばかりの絵画、あるいは婦人ばかりの文学というものはないも・・・ 宮本百合子 「明日をつくる力」
・・・こまかくしらべれば大変複雑で、音楽好き、映画好き、スポーツ好き、様々ではあるが、大体、人間として一応興味をひかれることがらというものはある。衣、食、住のこと、それから恋愛など、愛と憎しみの諸問題。その素朴ないくつかの主題は、その社会がそのと・・・ 宮本百合子 「新しい文学の誕生」
・・・きれいな夏ものが飾られ、登山用具はデパートのスポーツ部にあふれている。軒をならべた露店に面して、よくみがかれた大きいショーウィンドをきらめかせているデパートはすべてが外国風な装飾で、外国人専用のデパートの入口には外国の若い兵士が番をしている・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・このことにつづいて、スポーツに関し、私の心にきつく刻まれている思い出があります。それは多分プラーグかでオリンピックのあった時だと思います。まだ健在であった人見絹枝さんが女子選手を引率して行く途中モスクワへよられました。大使館でその歓迎と幸先・・・ 宮本百合子 「現実の問題」
・・・出版 雑誌 書籍 教育 国字・国語 宗教 科学 文学 映画・演劇 音楽 舞踊 美術 スポーツ 文化組織 ・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・最も肉体的表情であって翻訳を必要としないスポーツで日本は世界の最前列に伍していることや、所謂躍進日本の他の一面としての文化紹介を欲する政府当局の意嚮などが、外務省文化事業部へ反響して、先ず国際文化振興会が半官的な組織で成立し、つづいて島崎藤・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫