・・・寺々の鐘が鳴り渡ると爆竹がとどろいてプロージット、プロージットノイヤールという声々が空からも地からも沸き上がる。シャン/\/\と雪ぞりの鈴が聞こえ、村の楽隊のセレネードに二階の窓からグレーチヘンが顔を出す。たわいもない幻影を追う目がガラス棚・・・ 寺田寅彦 「銀座アルプス」
・・・群集が一度にプロージット・ノイヤール、プロージット・ノイヤールと叫ぶ。爆竹に火をつけて群集の中へ投げ出す。赤や青の火の玉を投げ上げる。遅れて来る人々もあちこちの横町からプロージット・ノイヤールと口々に叫ぶ。町の雪は半分泥のようになった上を爪・・・ 寺田寅彦 「先生への通信」
・・・よしよし、プ、プ、プロージット。」 そこでみんなは呑みほしました。 わたくしは臆してしまって、もう帰ろうかとも思いましたが、さっきファゼーロたちにあんなことを云ったものですから立っていることも遁げることもできませんでした。どうなるか・・・ 宮沢賢治 「ポラーノの広場」
出典:青空文庫