・・・早速上申書を出さなければならん。そこでだ。そこでヘンリイ・バレットは現在どこに行っているかね?」「今調べたところによると、急に漢口へ出かけたようです。」「では漢口へ電報を打ってヘンリイ・バレットの脚を取り寄せよう。」「いや、それ・・・ 芥川竜之介 「馬の脚」
・・・中共勝利とともに国内に流布した中共関係の文書の中には、かつて特務機関として奥地の情報を集めていた文書があり、獄中で検事局からの諮問に答えて上申した文書がある。それらは、侵略国日本が中国人民と中共からかすめとった収奪物でなくて何だろう。注意ぶ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・一個のマルクシストであり、中央委員であった人物が、残酷な悪法に挫かれて、理性を偽り、これからは共産主義に対してたたかうことを生涯の目的とするという意味の上申書を公表しなければならなかったことは悲劇である。どんなに日本の治安維持法は暴虐で、通・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・「自供、あやまてりわが労働運動、人間竹内の上申書」「横谷にそそのかされ二人で運転台へ」といういわゆる上申書の内容を公表した。「私は実は十一月四日の第一回公判廷において、自分がどの線でゆくのが真実なのか、非常に悩みました。自分が無罪なのか・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
・・・ ついに市長は大いに困ってその筋に上申して指揮を仰ぐのほかなしと告げて席を立った。 この事件のうわさはたちまち広まった。老人が役所を出ずるや、人々はその周囲を取り囲んでおもしろ半分、嘲弄半分、まじめ半分で事の成り行きを尋ねた。しかし・・・ 著:モーパッサン ギ・ド 訳:国木田独歩 「糸くず」
出典:青空文庫