・・・村の娘たちは、新しい自分の力にも目ざめてゆくであろう。不況な農村のありあまった労力が現金にかえられるところに、親のよろこびもあるであろう。 けれども、作業場といえば、おのずから採光や換気のことも考えられる。日本が世界第一の結核国であり、・・・ 宮本百合子 「新しい婦人の職場と任務」
一 東京新聞七月三十一日号に、火野葦平の「文芸放談」第二回がのっている。「同人雑誌の活溌化」がトピックである。 このごろの出版不況で、文芸雑誌のいくつかが廃刊した。そして、雑誌を廃刊し、また経・・・ 宮本百合子 「しかし昔にはかえらない」
・・・今は不況時代で就職は難しいと一般に考えられていますが、しかし、誠意をもって、たましいを打ちこんで自分の職務に尽そうとしている人は少ない。 ですから、職を求める人がそこらにほうきではきよせる程あっても、要するに、誠意を認められている人はや・・・ 宮本百合子 「「市の無料産院」と「身の上相談」」
・・・インテリゲンツィアの勤労者階級化の傾向はこれに応じて必然に生じたのであり、更に一九二九年の恐慌以後今日に至る一般の不況は、益々深刻にこの社会的現象を展開させている。十年前に労働予備軍に加った人々の生活が低下しつつある傍ら、新しい青年層の無産・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・そういうギャップが現実にあるから舟橋聖一・田村泰次郎がこの不況にトップをきって売れているのです。 ここにAさんという人があります。Aさんという人は工場に働いています。それで文学好きです。文学を好きだという人は必ずより人間的な要求をもって・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫