・・・―― ところが、四月号の『中央公論』に「極東情勢の新展開と日本」という座談会記事がある。ニューヨーク・タイムズ東京支局長リンゼー・パロット氏、AP東京支局長ラッセル・ブラインズ氏に対して日本人として鈴木文史朗氏が出席している、肩書はリー・・・ 宮本百合子 「鬼畜の言葉」
十一月号の『中央公論』に「杉垣」という短篇を書いた。その評の一つとして武田麟太郎氏の月評が『読売新聞』に出ているのを読んだ。「勤め人夫婦が激動する時代の波濤の中でいかに理性的に生くべきかを追究する次第を叙し」「各人物の・・・ 宮本百合子 「現実と文学」
・・・大正五年中央公論に「貧しき人々の群」を発表して以来小説を、文芸などについての感想評論風のものは昭和三四年頃以来書くようになりました。大正五年お茶の水卒、同八年九年アメリカ旅行。結婚。同十三年離婚。長篇「伸子」を三年に亙って執筆。昭和二年――・・・ 宮本百合子 「「現代百婦人録」問合せに答えて」
・・・を『中央公論』に書いたときは徹夜してしまいましたが。 きのう速達で手拭、タオル、下へはくもの、単衣、フロ敷等お送りし、フトンは敷布を添えました。タオル二本のうち、私は薄手の方がさっぱりした使い心地だろうと思いますが、実際はどうかしら。薄・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・ 二月は短い月だのに小説を『中央公論』にかかねばなりません。お正月の間は格子の上のはり紙をはがしておいたけれども又明日あたりから「まことに勝手ながらこの次お出で下さる時は火金曜日の午後にお願いいたします」を貼りましょう。実にいろいろなひ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・後篇を中央公論に連載しつつあった。永井荷風は往年の花柳小説を女給生活の描写にうつした「ひかげの花」をもって、谷崎潤一郎は「春琴抄」を、徳田秋声、上司小剣等の作家も久しぶりにそれぞれその人らしい作品を示した。そして当時「ひかげの花」に対して与・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・そして、涙をおとした。「農民」という題をつけて書いたその小説は、やがて父が紹介者をもっていたという関係から私の知らないうちに坪内雄蔵氏のところへ送られた。そして、中央公論に紹介され、そこに発表されることにきまった。坪内雄蔵氏の注意で、二・・・ 宮本百合子 「作者の言葉(『貧しき人々の群』)」
・・・火野氏が『中央公論』七月号に発表している「土鈴」は『改造』の「神話」よりずっとテーマとして高い複雑な人間交渉のモメントが捉えられているのだが、ここでも作者は息子の荘太郎は従において、代官神川平助を中心においている。神川平助の性格でもあるのだ・・・ 宮本百合子 「作品の主人公と心理の翳」
『中央公論』の十月号に、荒木巍氏の「新しき塩」という小説がある。中学校の教師を勤めているうちに自身の少年時代の生活経験から左翼の活動に共感し、そのために職を失った魚住敬之助という男が、北海道まで行って、不良少年感化院の教師と・・・ 宮本百合子 「作品のテーマと人生のテーマ」
・・・青野季吉氏が二月の『中央公論』に「作家の凝視」ということを書いていられる。現実を凝視する粘りづよさを作家に求めているのである。作家が自身の作品に深々と腰をおろしている姿には殆ど接し得ないという、「作品と作家の間の不幸な関係は、そのままで放置・・・ 宮本百合子 「作家に語りかける言葉」
出典:青空文庫