・・・私は駒込署に検挙され、宮本顕治は非合法生活に入った。九月。日本プロレタリア文化連盟婦人協議会会議中、全員検挙、一ヵ月検束された。日本のファシズムと侵略戦争に反対し、勤労階級の社会的発言の一つの現われとして活動をはじめた「日本プロレタ・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・そしてプロレタリア大衆雑誌として一層効果的な、健全な活動を開始しはじめると、官憲の圧迫は想像以上に猛烈となり、合法的な『戦旗』『婦人戦旗』はほとんど非合法出版物のような窮屈な状態へ追いこまれた。日本におけるプロレタリア文化啓蒙運動の正常な発・・・ 宮本百合子 「婦人雑誌の問題」
・・・運動が合法的擡頭をした時代に階級的移行をしたインテリゲンチアが、文学上の名声という特殊性もあってまだ十分自分らを階級人としてこね直しきらないうちに、情勢の方はさきまわりして客観的にはそれらの人々がすでに一つ前の時代のタイプとなり、その破綻が・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」
・・・の活動が、大衆の力によって国際的に組織化されたのであるが、それはどの程度まで合法の形をとり得るだろうか? 官憲が「ナップ」にしかけたわながここにある。世界の階級闘争の大勢がどっちを向いて流れているか、それは手にとるように明らかだ。これま・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・―― 日本の常識からはまだ天皇制の絶対主義・軍国主義と治安維持法のおそろしい影がどいていない。合法的な一つの政党である正規の共産党員が世界に二千数百万人いることを私たちは現代常識の一つとして知っていなければならない。その指導者と考えられ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・しかしこれは資本主義第三期には当然起る現象であって、現在の私達にはこれに反対すべき合法的何等の手段も方法も、与えられておりません。 今度の事変で一番感じたことは、純情というものが支配階級によって如何に巧にわき道に導かれて行ったか、という・・・ 宮本百合子 「ゆがめられた純情」
出典:青空文庫