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・・・『東洋美術図譜』は余にこういう料簡の起った当時に出版されたものである。これは友人滝君が京都大学で本邦美術史の講演を依託された際、聴衆に説明の必要があって、建築、彫刻、絵画の三門にわたって、古来から保存された実物を写真にしたものであるから・・・
夏目漱石
「『東洋美術図譜』」
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・・・子供から半老人になるまでの間に、サフランに対する智識は余り進んではいなかったが、図譜で生の花の形だけは知っていたので、「おや、サフランだな」と思った。花卉として東京でいつ頃から弄ばれているか知らない。とにかくサフランを売る人があると云うこと・・・
森鴎外
「サフラン」