・・・およそ日本国中の人口三千四、五百万、戸数五、六百万の内、一年に子供の執行金五十円ないし百円を出して差支なき者は、幾万人もあるべからず。一段下りて、本式の学問執行は手に及ばぬことなれども、月に一、二十銭の月謝を出すか、または無月謝なれば、子供・・・ 福沢諭吉 「小学教育の事」
・・・それならば、お七は死に臨んでも自分の罪を悪いと思わぬばかりでなく、いっそ自分のつけた火が江戸中に広がって、自分を死刑に宣告した裁判官と、自分を死刑に陥れた法律と、自分を死刑に行うべき執行人とを合せて焼き尽さなんだ事を残念に思うて居るのであろ・・・ 正岡子規 「恋」
・・・ ところが、この災難は起訴された。執行猶予ということは、不起訴になったということではない。起訴した検事局は、どこまでも刑法に該当するものとして、ただ処罰を猶予したに過ぎなかったのである。法律上は素人である平凡なおとなしい市民は、このこと・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・保守の党が中央部、又は執行機関に婦人代議士を一人も包括しようとしていないばかりか、社会党も、婦人代議士は婦人部で、という風で、一政党の政策というよりも社会政策的な婦人部案を発表している。これらの立場は女としてはた目にも切ない。婦人代議士たち・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・あれにはただ身許引受人があったから執行猶予にしたとあります。身許引受人というものと、その充子さんという人との関係がわかっていないし、夫とその人との関係がわかっていません。ああいう生活過程をもっている女の人の場合には、ひとくちに身許引受人とい・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・ 一九三二年の国際婦人デーの記念として、日本プロレタリア作家同盟の各地方支部はめいめいの執行機関の下に婦人委員会を置く問題を具体的課題としてとりあげなければならない。 各支部の中央執行機関はその一つの機能として婦人委員会を置き組織部・・・ 宮本百合子 「国際無産婦人デーに際して」
・・・全ソヴェト同盟中央執行委員会の建物だ。クレムリンを博物館とすべきための造営である。 その他、何になるのかわからない大きな建築工事がいたるところにある。板がこいから空へつき出した起重機の頂に赤旗をひるがえしながら煉瓦、石灰の俵、トラクター・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ジイドは、信じられぬ程の偏執で、その必要は、スターリンの犠牲であり、欺かれたもの達である労働者の上に死刑執行人と、搾取者とが君臨して「ロシアの労働者は幸福であると、フランスの労働者に信ぜしめる為の莫大な宣伝費をつか」うためであると云っている・・・ 宮本百合子 「こわれた鏡」
・・・ケレンスキーがそれを全露労働者兵卒ソヴェト中央執行委員会に貸した。二十五日の夜、徹宵この敷石道の上をオートバイが疾走し篝火がたかれ、正面階段の柱の間には装弾した機関銃が赤きコサック兵に守られて砲口を拱門へ向けていた。軍事革命委員会の本部だっ・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・と発言して、布施弁護士によってその要求を具体化した被告飯田七三、もと三鷹電車区検査係、同分会執行委員長は、午後の法廷でさらに発言を求めて次の様に述べた。「最初申しあげた通りこの事件がいわゆる普通の刑事事件と違うということをもっとも端的にあら・・・ 宮本百合子 「それに偽りがないならば」
出典:青空文庫