・・・そこで、ジャーナリズムの目的は達せられたので、岩藤雪夫の小説「鍛冶場」が、どんなひどい階級的裏切りを示しているか、ダラ幹小説であるかを、細かく批判しないでも一応適用したらしい形である。 大体いって、いわゆる専門外の人の作品批評はナカナカ・・・ 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・前田河広一郎・葉山嘉樹・岩藤雪夫及黒島伝治の写真。 東京へかえったら二三の知人が、 ――どうですね、日本のプロ文士の剣劇レビューは?と云って笑った。 ――ソヴェトのプロ文士の喧嘩もあんな工合なんですか。えらく荒っぽいことがす・・・ 宮本百合子 「ニッポン三週間」
・・・外題は、塩原多助、尾上岩藤に、小栗判官、照手の姫、どんなによかろう。見たいない。 祖母の顔を見るやいなや、婆さんは、飛び立った様にその小さい眼をかがやかしながら云う。「行ってお見ねえか?「私は、あすこまで歩くのが事でなし・・・ 宮本百合子 「農村」
出典:青空文庫