-
・・・もし投げたる球が走者に中れば死球といいて敵を殺さぬのみならずかえって防者の損になるべしされば走者がこの危険の中に身を投じて唯一の塁壁と頼むべきは第一第二第三の基なり。けだし走者の身体の一部この基(坐蒲団に触れおる間は敵の球たとい身の上に触る・・・
正岡子規
「ベースボール」
-
・・・桂離宮の玄関前とか、大徳寺真珠庵の方丈の庭とかは、その代表的なものと言ってよい。嵯峨の臨川寺の本堂前も、二十七、八年前からそういう苔庭になっている。こういう杉苔は、四季を通じて鮮やかな緑の色調を持ち続け、いつも柔らかそうにふくふくとしている・・・
和辻哲郎
「京の四季」