・・・まことに、相逢った時のよろこびは、つかのまに消えるものだけれども、別離の傷心は深く、私たちは常に惜別の情の中に生きているといっても過言ではあるまい。 題して「グッド・バイ」現代の紳士淑女の、別離百態と言っては大袈裟だけれども、さまざまの・・・ 太宰治 「「グッド・バイ」作者の言葉」
・・・そうして、その次に、「惜別」という魯迅の日本留学時代の事を題材にした長篇と、「お伽草子」という短篇集を作り上げた。その時に死んでも、私は日本の作家としてかなり仕事を残したと言われてもいいと思った。他の人たちは、だらしなかった。 その間に・・・ 太宰治 「十五年間」
・・・ このたび私の「惜別」が橋になって、あなたから長いお手紙をいただきましたが、私は、たいへんうれしかった。あなたのお手紙の文面が、やさしく正直なのも大きな悦びでありましたが、それよりも何よりも、私にはあのお手紙の長さが有難かったのです。本・・・ 太宰治 「返事」
出典:青空文庫