・・・などは、もっともっと目に見るように支配階級のこういう陰謀を摘発し、赤松らの憎むべき役割の撃破についてアジプロしなければならぬ。そう思うのであった。 梅雨期の前でよく雨が降った。中川は十日に一度ぐらいの割で、或る時はゴム長をはいてやっ・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・用紙の不足とそれにからむ不正取引摘発を機会に、内閣直属の用紙割当委員会を組織した。一九四六年に用紙割当事務の内閣移管が行われたとき、政府は日本出版協会の公的存在を認めること、言論出版の自由を認めることを条件とした。ところが行政機構の変革をチ・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・「昭和八年十一月二十八日敵の摘発の毒牙にかかって遂に検挙され」当時既に肺結核を患っていた野呂は「警察における処遇に抗しかねて僅か二ヶ月に足らずして品川署で最後の呼吸をひきとった。数え年三十五歳であった。」 当時私の友達が偶然野呂さんのい・・・ 宮本百合子 「信義について」
・・・ 各地で隠匿物資の摘発が行われている。これには生活擁護問題の若い人々やその他種々の農民組合、労働組合の若い人々が大きい動力となって働いている。青年の本来の心にある正義心は、自分達の愚弄された青春をわが手にとり戻そうとしてこれ等の動きに現・・・ 宮本百合子 「青年の生きる道」
・・・このように不安な時代に生れる文学はリアリズムの方向にもどるにしろ当然かくの如きインテリゲンチアの不安を語り、摘発し、解決する文学でなければならない、というのがその論拠であったと考えられるのである。 そういう社会的不安を反映する文学の創作・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」
・・・第一回で、羞恥ということはわれとわが身を摘発することだ、と書きはじめている。その「ぱッと顔の赤らむ直截な感情である」羞恥とはなんであろうか、ということをこの作者は生々しい感情から扱いえなくて中村光夫さんはこういうふうに論じている、誰それは、・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ 他人の話を聞き、他人に会い、その言動の裡から欠点ばかりを摘発するとしたら、結局自分は、今在るだけの自己を肯定するばかりで、何ら新らしい利益を得たことにならないのではありませんか。同様のことが、外国旅行者にも云えると思います。 その・・・ 宮本百合子 「男女交際より家庭生活へ」
・・・毛利基は宮本の関係した党内スパイ摘発事件のとき、スパイを潜入させその活動を指導するための主役の一人であった。はじめて保護観察所によばれたとき、この毛利が鉈豆煙管をさげて出てきて、「どうだね、悪いことをしたと思うかね。」と言った。そのとき・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ 常識的に見ると、こういう複雑な場合では、この周囲の社会的事情そのものの中にある原因を十分探究摘発すべきであって、たまたま派手ずきで目立っていた一婦人の虚栄心という所にのみ、その責任の大部分を塗りつけるのは無理です、何か弱いものいじめの・・・ 宮本百合子 「果して女の虚栄心が全部の原因か?」
・・・ この頃、新聞に閣僚や官僚の不正利得が摘発された記事がでるようになった。罪のない新聞の読者は、もしかしたら、これも日本が民主的になって、人民の正義がいくらか通る時代になったからではあるまいか、と思ってそれらの記事にも目をそそぐのでは・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
出典:青空文庫