・・・清司や与作を含むA村の農民の生活にとって、こういうさまざまのいりくんだ関係はどんなに日常の制約となっているか、米作と炭やきと日雇稼ぎとはA村の全生活でどういう組合せになっているかというようなことが、じっくりと全篇の基調としてとりあげられたな・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・ 然し行くと、日雇一円五十銭ずつ出されるので、ひどいのがうんと来る。 ミス某きたながり「世界中で一番弱い民族だ」と云う。八重「貴女、私たちの人の愧しいところを御覧になったのだから、必要以外のことは黙って居て下さいね」「N・・・ 宮本百合子 「一九二五年より一九二七年一月まで」
・・・、不幸だった女がみかん畑の日雇い婆さんで暮している晩年に、ふとあったかい人生の道づれを見出す「三夜待ち」、それぞれの題にふくらみと生活性がこもっているとおり、すべてこれらの物語は、読者のこころにふれ、人生は生きるに価するところである思いを与・・・ 宮本百合子 「壺井栄作品集『暦』解説」
・・・ 読書にも討論にもゴーリキイは魅力を失った。「非凡、善、不屈、美と名づけられるべきすべての小さな、珍らしい細片」をじかに人々のうちからあつめたい欲望に刺戟されて、再び放浪の旅に出た。 日雇い仕事でパンを稼ぎながら秋までほとんどロシア・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
出典:青空文庫