・・・ 聖書は来世の希望と恐怖とを背景として読まなければ了解らない、聖書を単に道徳の書と見て其言辞は意味を為さない、聖書は旧約と新約とに分れて神の約束の書である、而して神の約束は主として来世に係わる約束である、聖書は約束附きの奨励である、・・・ 内村鑑三 「聖書の読方」
・・・ 日蓮聖人伝十講有朋堂文庫 日蓮聖人文集室伏高信 立正安国論高山樗牛 日蓮とはいかなる人ぞ姉崎正治 法華経の行者日蓮倉田百三 祖国への愛と認識ニーチェ ツァラツストラ如是説旧約聖書中のイザヤ書。妙法蓮華経。マルチ・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・民族間の戦争を誡め、平和を説いたものであるが、文字に書かれた、恐らく最古のものであろう。旧約にはいっている。しかし、そういう昔のことにまでかゝずらっているヒマがない。近代文学には、明かに、戦争反対の意図を以て書かれたものを相当拾い上げること・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・ 私のいまの仕事は、旧約聖書の「出エジプト記」の一部分を百枚くらいの小説に仕上げる事なのです。私にとっては、はじめての「私小説」で無い小説ですが、けれども、やっぱり他人の事は書けません。自分の周囲の事を書いているのです。いままでの小説の・・・ 太宰治 「風の便り」
・・・もっとも旧約の時代に於いては、サタンは神と対立する強い力としては現われていない。旧約に於いては、サタンは神の一部分でさえあったのである。或る外国の神学者は、旧約以降のサタン思想の進展に就いて、次のように報告している。すなわち、「ユダヤ人は、・・・ 太宰治 「誰」
・・・信仰の祖といわれているアブラハムが、その信仰の義のために、わが子を殺そうとした事は、旧約の創世記に録されていて有名である。 ヱホバ、アブラハムを試みんとて、 アブラハムよ、 と呼びたまふ。 アブラハム答へていふ、 われこ・・・ 太宰治 「父」
・・・二 少し唐突な話ではあるが、旧約聖書にたしかヤコブが天使と相撲を取った話がある。 その相手の天使からイスラエルという名前をもらって、そうしてびっこを引きながら歩いて行ったというくだりがあったようである。その「相撲」がいっ・・・ 寺田寅彦 「相撲」
・・・記憶がよくて旧約全書の聖歌を暗誦したりした。環境には何ら科学的の刺戟はなかったが、塩水に卵の浮く話を聞いて喜んで実験したり、機関車二台つけた汽車を見てその効能を考えたりした。伯母に貰った本で火薬の製法を知り、薬屋でその材料を求めて製造にかか・・・ 寺田寅彦 「レーリー卿(Lord Rayleigh)」
・・・ ニイチェのショーペンハウエルに対する関係は、新約全書の旧約全書に対するやうなものである。だれも知る通り、旧約の神エホバは怒と復讐の神であり、新約の神は愛と平和の神である。この二つの神は正反対の矛盾として対蹠して居る。しかも新約は旧・・・ 萩原朔太郎 「ニイチェに就いての雑感」
・・・最後の一句のおかげで、旧約聖書の雅歌の一くさりまでを引用し、築かれた幻想の世界はにわかに作者自身によってかきまわされ、こわされ、読者は索然と、何か作文を読まされたような感想を抱くのである。 川端氏の芸術境において、こういう顕著な気分の崩・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
出典:青空文庫