・・・それは、ソヴェトで労働大衆とプロレタリア作家とがどんなに有機的に手を結び、社会主義社会の建設のために共同作業をやろうとしているか。労働大衆が、自分たちの文学としてのプロレタリア文学発展に対して、どんな積極的態度を示して来ているかということに・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・大まかに、社会と人間の有機的な諸関係をその歴史の積極な方向――社会主義の展望において描き出す、という規定を土台としているだけである。プロレタリア文学の時代、その最後の段階で、「前衛の目をもって描け」と云われたことは、社会主義リアリズムへ展開・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・この間、大衆の健全な娯楽、階級的な文化の一般的啓蒙、あらゆる角度と種類からの労働者階級の文学、民主主義文学の創造と普及とは、必ずしもそれぞれの特殊性を有機的にいかすくみ合わせで組立てられてもいなかったし、動かされてもいなかった。 一九四・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・もっと有機的に、苦痛、困難、失敗の繰返しのうちから根気よく勝ちとった革命が描かれなければならないんです。第一、そんな赤白物語、つまりませんよ、読んだって! 彼女は快活に笑った。階段を二階へのぼりながら、彼女は日本の児童のための雑誌、本の・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・ 多くの作家によって今日大衆は自身の文学を作る可能を持った者としてその面での有機的関係で見られておらず、或る意味ではプロレタリア文学の運動が起らなかった以前のままの内容で作家は大衆を取上げているのである。このことはどうして起って来たので・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・の、どちらかというと自然発生的な構成の方法はA村をつよく作者が手もとによせて引つかむには不便な方法であり、また逆に作者によるA村のつかみかたが、この構成の方法に反映しているとも見られる微妙な有機的関係にあるのである。 作者は、細かく農民・・・ 宮本百合子 「作家への課題」
・・・それは西洋画家が普通の事としてやっている対象全体への有機的な注意の欠如である。 おそらくこの画は全体の構図と個々の麦の忠実な写生とからできたものであろう。従ってあの数多い麦は、かなり機械的な繰り返しをもって、ただ画面上の注意のみによって・・・ 和辻哲郎 「院展日本画所感」
・・・しかし人間が超個人的な永遠な事業を完成するためには、できるだけ有機的に個々の力を共同させねばならぬ。その組織が完全になればなるほど人生の目的は力強くつかまれる。――この事情は勢い民衆の間の心と心との交通を力づけるだろう。 そこでキリスト・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
・・・従って有機的な動き方を機械的な動き方に変質せしめたものと見ることができる。この表現の仕方は明白に自然的な生の否定の上に立っている。そうしてそれが一切の動作の最も基礎的なものなのである。が、このように自然的な動きを殺すことが、かえって人間の自・・・ 和辻哲郎 「能面の様式」
・・・人形が生きて動いている時には、同時にこの三人の使い手の働きが有機的な一つの働きとして進展している。見る目には三人の使い手の体の運動があたかも巧妙な踊りのごとくに隙間なく統一されてなだらかに流れて行くように見える。ただ一つの躊躇、ただ一つのつ・・・ 和辻哲郎 「文楽座の人形芝居」
出典:青空文庫