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・・・夜あかしはしても、朝湯には行けないのである。「可厭ですことねえ。」 と、婀娜な目で、襖際から覗くように、友染の裾を曳いた櫛巻の立姿。 五 桜にはちと早い、木瓜か、何やら、枝ながら障子に映る花の影に、ほんの・・・
泉鏡花
「売色鴨南蛮」
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・・・本にかすり春水翁を地下に瞑せしむるのてあいは二言目には女で食うといえど女で食うは禽語楼のいわゆる実母散と清婦湯他は一度女に食われて後のことなり俊雄は冬吉の家へ転げ込み白昼そこに大手を振ってひりりとする朝湯に起きるからすぐの味を占め紳士と言わ・・・
斎藤緑雨
「かくれんぼ」