・・・他なし、自己の幸福、社会の安全に関係するところのものなれども、ただ審判の力に乏しくして、あるいは事の成を期すること急に過ぎ、あるいはその事を施行すること劇に過ぎて、心事の本色を現わすこと能わざるのみ。 たとえば少年の勇士が死を決して自か・・・ 福沢諭吉 「教育の目的」
・・・学育もとより軽々看過すべからずといえども、古今の教育家が漫に多を予期して、あるいは人の子を学校に入れてこれを育すれば、自由自在に期するところの人物を陶冶し出だすべしと思うが如きは、妄想のはなはなだしきものにして、その妄漫なるは、空気・太陽・・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
・・・かつてそのようにいいきった一人の作家が、いままた将来に期するというとき、戦争についてのこのような考えかた、感じかたは、まだ日本に海のなかの氷山のようにそのかくれた底を大きく存在させているということの証左である。石川達三の表現はその日本の氷山・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・ この法案は日本のラジオの自由と健全な発展を期するために立案されたものであるとして公表された。しかし一般にこの法案が日本のラジオの民主化と自由な発展のために果して適当な性格をもっているかどうかということについてきびしい批判がおこっている・・・ 宮本百合子 「今日の日本の文化問題」
・・・読売新聞が社説「人権擁護の完全を期するために」で第一、警察官の民主化の実行、第二、地方刑罰条例の濫発への警告――売春等取締条例・公安条例など「国会で決定せず、地方自治体できめしかもムヤミにつくりたがる傾向」を批判していた。一九四八年に人権擁・・・ 宮本百合子 「修身」
・・・ 何の力にすがって、刻々の自分の殼を破ってゆくかと云えば、人生的文学的な自己省察であり、そのようなきびしいたゆみない自己省察は人間の生きつづける歴史の継続としてのこの人生と文学とに期するところがなければ生じるものではないであろう。大いに・・・ 宮本百合子 「地の塩文学の塩」
・・・そして歴史の発展を担う進歩的階級――即ち今日ではプロレタリア階級の側に立って、社会を正しくする仕事に協力するのでなければ婦人作家も正しい発展を期することは出来ません。 知識を合理的に発達させる社会、情操を自由に伸びさせる社会、それは社会・・・ 宮本百合子 「婦人作家の「不振」とその社会的原因」
・・・判決の結果に対しては何もいえない、ただ将来に期するしかないという意味を石川達三談として書かれていました。この同じ作家が戦争が終結した時にどういうことをいったかといえば、日本がまた再び過ちを犯すならば自分も犯すだろうとはっきりいっています。そ・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・ もし真に文学の発展を期するのであれば、日本の文学史の上に一つの新たな芸術運動をもたらした左翼的作家の業績も、当然アカデミーによって評価せられなければならない筈である。それは決して為されない。そういう要求を明言することさえ野暮であるとい・・・ 宮本百合子 「矛盾の一形態としての諸文化組織」
・・・我が番組編成の指導方針は事業創始当初より一貫して神ながらの我が国民精神の涵養を基調とし日本文化の普遍と向上を期するにあるのは云う迄もない所である」とされている。指導方針によって放送審議会がこの大綱を定め、中継番組は放送編成会が働き、ローカル・・・ 宮本百合子 「「ラジオ黄金時代」の底潮」
出典:青空文庫