・・・彼等の文学のうち、比較的ましな文学の中には彼等がいかに生きて来たかということは書かれているだろうが、いかに生くべきかという可能性は描かれていない。桑原武夫が、日本の文学がつまらぬのは、外国の文学に含まれている、人間がいかに生くべきかという思・・・ 織田作之助 「可能性の文学」
・・・第一巻から第二巻にかけてのころ云われた、作者は折角ソヴェトを描きながら、伸子の見たことしか書けない、という批評である。桑原武夫の評論の中でも、この「レンズの光度の低さ」は「日本的方法の限界を示し」、日本の文学に共通な後進性として、鋭いフォー・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・この三つの創作方法は、日本の民主革命の広い凹凸の多い戦線にとって、それぞれの階級の進みゆく歩幅につれて新しい文学を生み出してゆくよすがであろう。桑原武夫が、民主主義文学であるならばそれは社会主義的リアリズムの手法をもつべきものであるとして、・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 桑原武夫氏が十日の毎日で「引揚げ」という文中に、インターナショナルをうたって引揚げて来た人々を見て政府がびっくりしたからといって、すぐその「驚き」の感情を「取締り」に転化させることのあやまりを警告していた。わたしたちの「驚き」は、反人・・・ 宮本百合子 「「推理小説」」
出典:青空文庫