・・・いろいろの時代のいろいろの火成岩や水成岩が実に細かいきれぎれになってつづれの錦を織り出している。この事実は一方では地震や火山の多いこととも関係するが、一方ではまた日本の風景の多種多様なことや、ひいてはまた国々の郷土的色彩の変化の多いこととも・・・ 寺田寅彦 「カメラをさげて」
・・・あれは水成岩の割れ目に押し込んで来た火山岩です。黒曜石です。〕ダイクと云おうかな。いいや岩脈がいい。〔ああいうのを岩脈といいます。〕わかったかな。〔わかりましたか。向うの崖に黒い岩が縦に突き出ているでしょう。あれは水成岩のなかにふき・・・ 宮沢賢治 「台川」
・・・その癖、今、都会人が散策する山径が、太古は箒川の川底に沈んでいただろう水成岩であること、その知識によって自然力の微妙さ永遠さを感じさせる手段は一つも講じてない。 近頃熾に東京日日新聞で、日本新八景の投票を募っているが、あれなど、どういう・・・ 宮本百合子 「夏遠き山」
出典:青空文庫