・・・丁度、去年の極月十五日に、亡君の讐を復して、泉岳寺へ引上げた時、彼自ら「あらたのし思いははるる身はすつる、うきよの月にかかる雲なし」と詠じた、その時の満足が帰って来たのである。 赤穂の城を退去して以来、二年に近い月日を、如何に彼は焦慮と・・・ 芥川竜之介 「或日の大石内蔵助」
三月二十七日―四月十三日 自分台処で。きみは林町にやるスエ子の送り迎えのため 博覧会 父の到着 滞在 泉岳寺、第二会場、万国街 青山墓地で倒れたこと。プリンス of Wells の歓迎門などを見る。 Aと林町 ・・・ 宮本百合子 「「伸子」創作メモ(二)」
・・・某年に芝泉岳寺で赤穂四十七士の年忌が営まれた時、棉服の老人が墓に詣でて、納所に金百両を寄附し、氏名を告げずして去った。寺僧が怪んで人に尾行させると、老人は山城河岸摂津国屋の暖簾の中に入った。 二 竜池は家を継いで・・・ 森鴎外 「細木香以」
出典:青空文庫