・・・裏は、人力車一台やっと通る細道が曲りくねって、真田男爵のこわい竹藪、藤堂伯爵の樫の木森が、昼間でも私に後を振返り振返りかけ出させた。 袋地所で、表は狭く却って裏で間口の広い家であったから、勝ち気な母も不気味がったのは無理のない事だ。又実・・・ 宮本百合子 「犬のはじまり」
・・・引つづいて読者はひどく精密であるが全く無味乾燥なユロ男爵家の系図の中を引きまわされるのであるが、普通の読者は、その数千字を終り迄辛棒して結局は、最初の行にあった四字「ユロ男爵」だけを全体との進行の関係で記憶にとどめるような結果になる。 ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・p.30 テランス男爵 ――彼も戦場では勇敢そのものであったが 帝政時代となってからは、その自信を失った。 スタンダールのアメリカ観 共和主義者観 「緑の騎士」No.1p.80 リュシアンは二つの手紙・・・ 宮本百合子 「「緑の騎士」ノート」
出典:青空文庫