・・・それからまた女の結髪が昔の娼婦などの結うた「立て兵庫」にどこか似ているのも面白い。 唄合戦の光景も珍しい。一人の若者が団扇太鼓のようなものを叩いて相手の競争者の男の悪口を唄にして唄いながら思い切り顔を歪めて愚弄の表情をする、そうして唄の・・・ 寺田寅彦 「映画雑感6[#「6」はローマ数字、1-13-26]」
・・・「裸女結髪」の女の躯体には古瓢のおもしろみがある。近ごろガラス絵を研究されるそうだがことしの絵にはどこかガラス絵の味が出ている。大きな裸体も美しい。 熊谷守一。 この人の小品はいつも見る人になぞをかけて困らせて喜んでいるような気がする。・・・ 寺田寅彦 「昭和二年の二科会と美術院」
・・・されどもまず米の相場を一両に一斗と見込み、この割合にすれば、たとい塾中におるも外に旅宿するも、一ヶ月金六両にて、月俸、月金、結髪、入湯、筆紙の料、洗濯の賃までも払うて不自由なかるべし。ただし飲酒は一大悪事、士君子たる者の禁ずべきものなれば、・・・ 福沢諭吉 「慶応義塾新議」
出典:青空文庫