・・・の技術の不足と思っています。 どうも自作をさりげなく当り前な顔をして語るのはむつかしいです。作品が自ら語ってくれるとやに下っている方が無難でしょう。作中の「私」一つの問題でも、たとえ「聴雨」の続篇を「若草」の十月号に書きましたが、この中・・・ 織田作之助 「吉岡芳兼様へ」
・・・しかも新約は旧約の続篇で、且つ両者の精神を本質的に共通して居る。ニイチェのショーペンハウエルに於ける場合も、要するにまたこれと同じである。ニイチェは如何にその師匠に叛逆し、昔の先生を「老いたる詐欺師」と罵つたところで、結局やはりショーペンハ・・・ 萩原朔太郎 「ニイチェに就いての雑感」
・・・のあらゆるもがきが、日本の近代社会の隅々までをみたしている根づよい古さと中途半端な新しさとの矛盾から生れていることを、こんにちの作者と読者とが理解するようには理解していなかった。「伸子」の続篇は、波瀾の多い四分の一世紀をへて、今「二つの庭」・・・ 宮本百合子 「あとがき(『伸子』)」
「伸子」の続篇をかきたい希望は、久しい間作者の心のうちにたくわえられていた。 一九三〇年の暮にモスクから帰って、三一年のはじめプロレタリア文学運動に参加した当時の作者の心理は、自分にとって古典である「伸子」を、過去の作品・・・ 宮本百合子 「あとがき(『二つの庭』)」
・・・及びこれからかきつづけられてゆくいくつかの続篇をとおして、「伸子」のうちに稚くひびいている主題は追求され展開されてゆくであろう。 伸子一人の問題としてではなく、この四分の一世紀間に、日本の進歩的な精神が当面しなければならなかった多難な歴・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」
・・・のない試みですが、有益です。[自注10]花の散ったパリ――一九二九年のアメリカの恐慌の影響をうけたパリの生活。[自注11]二年間位の仕事――「伸子」の続篇が計画されていたが実現しなかった。[自注12]シャパロフ――シャパ・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・が書かれたのは一九二四年―六年のことであった。続篇を書きたいと思いはじめた三〇年のはじめから、断片的な試みがされたが、当時の条件がそれを困難にした。やっと一九四六年の初冬から、はっきり「伸子」にひきつづく作品として「二つの庭」を書きはじめ、・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・の歴史の段階に入らんとしつつある階級人のそれぞれの苦痛の姿を語った。藤森成吉氏の戯曲「火」は脱獄後の長英と親友鈴木春山とが描かれ、「三十年」は昨年の同じ作者による「シーボルト夜話」の続篇として書かれた。貴司山治氏の戯曲「洋学年代記」には、学・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・の作品から一つの作品への間には、語りつくされぬ人間生活の汗が流された。そして、直接その汗について物語ることは困難である。 私は、益々誰にでも読まれ得る小説として「雑沓」の続篇を書きつづけ、そのことによって私たちの芸術の到達点をも示し、自・・・ 宮本百合子 「序(『乳房』)」
・・・のである。 同志鈴木清が『改造』に「火を継ぐもの」を書き、同志堀田昇一が『中央公論』に「モルヒネ」を書いている。また同志須井一は、「労働者源三」の続篇として「城砦」を『改造』に発表している。これらの諸作品についてはいずれ別の場所で改めて・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
出典:青空文庫