・・・又打死はしたが、相国寺の戦に敵の総帥の山名宗全を脅かして、老体の大入道をして大汗をかいて悪戦させたのは安富喜四郎であった。それほど名の通った安富の家の元家が、管領細川政元を笠に被て出て来ても治まらなかったというのは、何で治まらなかった歟、納・・・ 幸田露伴 「雪たたき」
・・・男を観察し、女中の留守には自分の洗ったお茶碗を傍で拭き、得意の庖丁磨きをすることを恒例とする良人、労農派の総帥山川均氏をはじめ、親類の男の誰彼が特殊な事情でそれぞれ女のする家のことをもよくするということで、すべての男性というものを気よくその・・・ 宮本百合子 「昨今の話題を」
・・・ もしもコンミニストが、此の文学の、恰も科学の持つがごとき冷然たる素質を排撃するとしたならば、彼らの総帥の曾て活用したる唯物論と雖も、その活用させたる科学的態度を、その活用なし得た科学的部分に於て排撃されねばならぬであろう。・・・ 横光利一 「新感覚派とコンミニズム文学」
出典:青空文庫