・・・故に女子結婚の上は夫婦共に父母を離れて別に新家を設くるこそ至当なれども、結婚の法一様ならず、家の貧富、職業の事情も同じからざれば、結婚必ず別門戸は行われ難しとするも、せめて新夫婦が竈を別にする丈けは我輩の飽くまでも主張する所なり。例えば家の・・・ 福沢諭吉 「新女大学」
・・・おのずからその士人の心を殺伐に導き、かつまた、その外面も文明の体裁に不似合なればとて、廃刀の命を下したるが如く、政治上に断行して一時に人心を左右するは劇薬を用いて救急の療法を施すものに等しく、はなはだ至当なりといえども、この救急の政略を施す・・・ 福沢諭吉 「政事と教育と分離すべし」
・・・またこれに驚くも至当の事なれども、論者はこれを憂い、これに驚きて、これを古に復せんと欲するか。すなわち元禄年間の士人と見を同じゅうして、元禄の忠孝世界に復古せんと欲するか。論者が、しきりに近世の著書・新聞紙等の説を厭うて、もっぱら唐虞三代の・・・ 福沢諭吉 「徳育如何」
出典:青空文庫