-
・・・ かるが故にわれは今なお牧場、森林、山岳を愛す、緑地の上、窮天の間、耳目の触るる所の者を愛す、これらはみなわが最純なる思想の錨、わが心わが霊及びわが徳性の乳母、導者、衛士たり。 ああわが最愛の友よ(妹ドラ嬢を指、汝今われと共にこの清・・・
国木田独歩
「小春」
-
・・・美々しい回しをつけた力士が堂々としてにらみ合っていざ組もうとすると、衛士だか行司だかが飛び出して来て引き分け引き止める。そういう事がなんべんとなく繰り返される。そして結局相撲は取らないでおしまいになるのである。どういう由緒から起こった行事だ・・・
寺田寅彦
「田園雑感」