・・・文学評論が、論争の当事者にだけわかり、その感情を刺激しあうような楽屋おちのものであることは、民主主義文学運動の課題としてかえりみられなければなるまいと思います。『黄蜂』という雑誌に野間宏という人の「暗い絵」という作品が連載中です。ブリュ・・・ 宮本百合子 「一九四六年の文壇」
・・・ 太い柱列の間の入口から、立派な石の正面階段を昇ってゆくと、左手の柱に喫茶所 プロレタリア作家の間に行われている文学的論争は、工場で、労働大衆の批判の下にやれ。 そして、最後に彼等はこう結んでいる。「我々は全ソヴェト作家団体協議・・・ 宮本百合子 「ソヴェト文壇の現状」
・・・の確立のためにと、過去のプロレタリア文学理論に対し小林多喜二の仕事に対し主観的で局部的な論争をはじめた。人民的民主主義という新しい歴史の課題やその文学運動がはじめられたことに懐疑や反撥を感じている人々が、この現象を面白がってグルリからはやし・・・ 宮本百合子 「その柵は必要か」
・・・恋愛と結婚の問題はそれらの論争の時代に、やっと小説と詩と伝説の枠から離れて社会科学の対象となり始めた。そしてこのことは同時に婦人自身の間に、婦人の社会的立場についての反省、省察と、客観的な研究の必要とを自覚させた。このことは婦人が自分達の手・・・ 宮本百合子 「人間の結婚」
・・・社会主義的リアリズムのこのように歪曲された解釈は、一般にさまざまな形でのリアリズム論争をまき起した。武田麟太郎の風俗描写的リアリズムをそのはじめとして。――すべてのリアリズム論争の特徴は、階級性の抹殺であった。佐多稲子、江口渙、私等は以・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・ 昔、文学の領域でアナーキズムとマルクシズムとの論争が旺んであった時代は、プロレタリア文学史のことで最も紛糾した頁をなしているのであろうと思うが、それは性質において今日プロレタリア文学内に交流し渦まきその頭や尻尾が見えつかくれつしている・・・ 宮本百合子 「プロ文学の中間報告」
・・・の内部組織は、いわゆる下からの意見を通し客観的な正しい規準で論争することのできない有様であった。まず、正しい道へ階級的立場をおき直し、芸術活動を始めるためには、その第一歩として団体の内部組織そのものの封建性を破壊しなければならない。そのこと・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・(左翼芸術運動における理論的統一のための論争、芸術理論の質的高揚と転化、全日本無産者芸術団体協議会の結成、日本プロレタリア文化連盟 第四期一九三二年後半から一九三四年三月頃まで。 第五期一九三四年後半より今日・・・ 宮本百合子 「『文芸評論』出版について」
・・・ ゴーリキイに、彼等の論争はよく分らなかった。真理らしいものは言葉の氾濫に溺れて消えた。しかし、生活を良い方へ向けようとしている人々を見、自分もその中に伍しているのだという自覚、何にもまして、彼等が解決しようとしているのが何であるかとい・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・ 学生の集りへ出かけても、本読みは退屈なほど長くつづき、生来論争の好きでないゴーリキイには「興奮した思想の気まぐれな飛躍を追うことが困難であり」、いつも論争者の自愛心が彼をいら立たせるのであった。 今日の歴史によって顧れば、ゴーリキ・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
出典:青空文庫