・・・この廊下一面の凝霜の少なくも一部分は、隊員四十余名の口から吐きだされた水蒸気がこの廊下へ拡散して来て徐々に凝結したものではないかと想像してみた。そう想像することによって隊員の忍苦の長い時間的経過を味わうことができる。 バードが極飛行から・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
・・・ この母熊の肉は探険隊員のあまたの食卓をにぎわすと同時に隊員のビタミン欠乏症を予防する役に立った。子熊のほうはたぶんそのうちに東京の動物園に現われ檻の前の立て札には「従来捕獲されたる白熊の中にて最高緯度の極北において捕獲されたるものなり・・・ 寺田寅彦 「空想日録」
・・・ O氏の主催で工業クラブに開かれた茶の会で探険隊員に紹介されてはじめて自分のぼんやりした頭の頂上へソビエト国の科学的活動に関する第一印象の釘を打ち込まれたわけである。 隊長シュミット氏は一行中で最も偉大なる体躯の持ち主であって、こう・・・ 寺田寅彦 「北氷洋の氷の割れる音」
・・・ やがて職業意識をとり戻し、彼は、わきに案内役をしている工場新聞発行所の文学衝撃隊員或は工場委員会文化部員に訊くだろう。「君、これは何て機械です? フフーム。それで、アメリカ製ですか? そうではない? 成程! 素敵だね。われわれのソ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・今ここに集っている婦人の中にはおそらく数百人の活溌な突撃隊員があるだろう。数十人の活動的な代表員があるであろう。それらの階級的良心ある勤労婦人がプロレタリア革命の意味を真に理解し、偉大な助力をプロレタリア国家に捧げていることは疑いない。我々・・・ 宮本百合子 「三月八日は女の日だ」
・・・ お互に故郷を出て働いている身であれば、それらの優良行動隊員にも、工場生活の青少年の心の内は十分の実感でわかる筈だろう。ただお目付役の威厳で、目の前でその小路を引きかえさせるばかりでは、若い心の何かの渇きや遣り場のなさがそのまま高尚な希・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・今年アガーシャ小母さんは、工場委員会と『労働婦人』という雑誌社から、モスクワ煙草工場の最年長突撃隊員の一人として、賞を貰った。赤いリボンで飾ったレーニンとクララ・ツェトキンの肖像画、『労働婦人』二年間の購読券。アガーシャ小母さんが踊る間、そ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の三月八日」
・・・衝撃隊員は一人のこさずソヴェト式の善玉。妨害分子は一人のこさず悪玉ぞろい。その二つの型の間に、機械的なマルクシズム応用の対立があるだけで、真のボルシェビキらしい具体的な悪玉への働きかけや、職場の動揺している労働者へのよびかけ、親切な導きが一・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・のために役立つ協定や条約をただの紙きれとしてしまおうとしている者たち、軍備の廃止のために協力するどころか、すでにおそるべき結果を生み出している軍事同盟政策に熱中して、西ドイツに、もとのヒットラーの突撃隊員をふくむ師団をつくった、極東の平和を・・・ 宮本百合子 「わたしたちには選ぶ権利がある」
出典:青空文庫