・・・トリオの部分は概して水平な短い直線の断片が現われてそれがちょうど編隊飛行の飛行機が風に吹き散らされてでもいるような運動をする。これを見ながら同時にこの曲を聞いているといくらかこの映画作者の気持ちを理解することができるような気がする。 そ・・・ 寺田寅彦 「踊る線条」
・・・そのガソリンは、モーターに超高速度を与えて、自動車を走らせ、飛行機を飛ばせる。太平の夢はこれらのエンジンの騒音に攪乱されてしまったのである。 交通規則や国際間の盟約が履行されている間はまだまだ安心であろうが、そういうものが頼みにならない・・・ 寺田寅彦 「からすうりの花と蛾」
・・・そのガソリンは、モーターに超高速度を与えて、自動車を走らせ、飛行機を飛ばせる。太平の夢はこれらのエンジンの騒音に攪乱されてしまったのである。 交通規則や国際間の盟約が履行されている間はまだまだ安心であろうが、そういうものが頼みにならない・・・ 寺田寅彦 「烏瓜の花と蛾」
・・・それにはこの鳥の飛行する地上の高さを種々の場合に実測し、また同時に啼音のテンポを実測するのが近道であろう。鳥の大きさが仮定できれば単に仰角と鳥の身長の視角を測るだけで高さがわかるし、ストップ・ウォッチ一つあればだいたいのテンポはわかる。熱心・・・ 寺田寅彦 「疑問と空想」
・・・ ツェッペリン飛行船などでも、最初から何度となく苦い失敗を重ねたにかかわらず、当の責任者のツェッペリン伯は決して切腹もしなければ隠居もしなかった。そのおかげでとうとういわゆるツェッペリンが物になったのである。もしも彼がかりにわが日本政府・・・ 寺田寅彦 「災難雑考」
・・・それが夢の中で高知の播磨屋橋を呼び出し、また飛行機の構造か何かが二重層の文化街を暗示したのではないかと思われる。後の場面に現われた土佐の山脈もまたここに縁を引いているかもしれない。「みどりや」という宿屋には覚えがない。しかしやはり前日家・・・ 寺田寅彦 「三斜晶系」
・・・ことに飛行隊の活動などは著しく天気の影響を受けている事は日々の新聞記事に徴しても明らかである。 ドイツ側は勿論、聯合軍側でも気象学者がどれだけ活動しているかについては寡聞にして何らの報告にも接しないが、ドイツのごとき国柄では平生から推し・・・ 寺田寅彦 「戦争と気象学」
・・・なおわがままを云い募ればこれが電車にも変化し自動車または飛行器にも化けなければならなくなるのは自然の数であります。これに反して電車や電話の設備があるにしても是非今日は向うまで歩いて行きたいという道楽心の増長する日も年に二度や三度は起らないと・・・ 夏目漱石 「現代日本の開化」
・・・と考えて見ても、もう思い出せなかった程の、つまりは飛行中のプロペラのような「速い思い」だったのだろう。だが、私はその時「ハッ」とも思わなかったらしい。 客観的には憎ったらしい程図々しく、しっかりとした足どりで、歩いたらしい。しかも一つ処・・・ 葉山嘉樹 「淫賣婦」
・・・ ジャックハムマーも、ライナーも、十台の飛行機が低空飛行をでも為ているように、素晴らしい勢で圧搾空気を、ルブから吹き出した。 コムプレッサーでは、ゲージは九十封度に昇っていた。だから、鑿岩機の能率は良かった。「おい、早仕舞にしよ・・・ 葉山嘉樹 「坑夫の子」
出典:青空文庫