・・・とった。それは、農林省の『本邦農業要覧』にあらわれた数字よりも、もっと正確に日本農民の生活を描きだしていた。けれども、それだけに止っていた。」とナップ三月号で池田寿夫はいっている。確に、それはその通り、それだけに止っていたのである。農林省の・・・ 黒島伝治 「農民文学の問題」
・・・じき、当時のナップに加盟していた日本プロレタリア作家同盟に参加した。そして精力的にソヴェトの社会生活の見学記、文化・文学活動の報告をかいた。一九三〇年の暮から一九三二年いっぱいに書かれたソヴェト紹介の文章は、『女人芸術』『戦旗』『ナップ』を・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第九巻)」
一九三〇年の暮にソヴェト同盟から帰って来て、翌年「ナップ」へ参加するまで、わたしは評論、紹介めいたものを書いたことがなかった。また、人の前に立って、文学についてそのほかの話をしたという経験もない。そして、それを自分の気質と・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
・・・や「ナップ」で公然と文筆活動をしていた小林多喜二、宮本顕治その他の人々が、一九三二年三月以後はこれまでの活動の形をかえて、地下的に生活し働かなければならないようになった。わたしも一九三二年四月七日に検挙されて六月十八日ごろまで、警察にとめら・・・ 宮本百合子 「解説(『風知草』)」
・・・ ところが、自分はそのことについて、この頃『ナップ』へ毎号つづけて書いている。また、近く内外社から出る綜合プロレタリア芸術講座の中にも、本気で、書いた。 この問題は、同時に、そうちょいと簡単に、ナンセンスでやっつけるわけには行かない・・・ 宮本百合子 「「鎌と鎚」工場の文学研究会」
・・・橋本英吉が『ナップ』へ三ヵ月ばかり批評を書き、個々の点では異論あるとしても、態度で、われわれに多くのものを教えた。〔一九三一年七月〕 宮本百合子 「こういう月評が欲しい」
・・・『戦旗』は階級的な文化の文学雑誌であるとともに、その半面では労働者階級の経済、政治の国際的な啓蒙誌でもあった。『ナップ』『プロレタリア文学』もそれに似た性格をもたずにいられなかったし、プロレタリア文化連盟は、地下におかれた階級的組織の氷山が・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・界文学講座のフランス文学篇では、私共は正確なバルザックの略歴さえ知ることが出来ないし、更に昨今の流行とてらし合せて私達の感想を更に一層刺戟するのは、一九三〇年、プロレタリア芸術運動が高まって綜合雑誌『ナップ』が発刊されていた頃、山田清三郎・・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・同時に第二回プロ美術展から第三回が開かれるまでの一年間、われ等のプロレタリア美術家は毎日の争闘を芸術活動においてどう行って来たか、例えば戦旗、ナップ、その他に掲載された時事、政治漫画を、時間順に並べて、又一年の業績を見なおさして呉れるのも決・・・ 宮本百合子 「プロレタリア美術展を観る」
・・・そこまで大衆の中に沈まないでも、例えば『ナップ』その他にこの頃一田アキという名で望みのある詩を書く婦人が現れている。しかしそういう新しい婦人詩人のところまでは新進を求める手をのばさない。 それにしても同じ資本主義社会の文化の中にあり・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
出典:青空文庫