・・・と三段ヌキ、トップに報道されている記事を見出した。福島のその村での結婚式の指紋とりは、偶然のことでなかった。 われわれ都民は、とられるものには、もう誰しもたんのうしきっている。とれるよりももっとどっさりの税をとられ、自殺する家族まで出る・・・ 宮本百合子 「指紋」
六月五日の読売新聞に「女工哀史の寄宿舎通勤制に」という記事が出ていた。 経済再建のトップに立つ日本の紡績界の半封建のままの少女労働の搾取に対して、厚生省が、一、女工寄宿舎制度の撤廃、二、遠隔地からの女工員募集禁止、三、・・・ 宮本百合子 「その檻をひらけ」
・・・『働く婦人』が創刊された時、第一号のトップに満州事変に抗議する記事を書いたのは、わたしでした。『戦旗』がどんなに田中内閣の侵略的意図を批判していたでしょう。しかしグルーは、日本人の中にそういう熱い思いが生きており、弾圧されていることを知りま・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・『読売新聞』は一貫して犯罪性を強調し、この裏に共産党ありと、あすにも犯人があがりそうに不安な雰囲気をかきたててきたが、今日の『読売』をみると一役すんだのだろう、国鉄中闘委員会左派十四名免職をトップに、あとは野球、囲碁へと注意を流している・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・一月六日の時事新報二面のトップに「五・一五事件山岸中尉の新生」という見出しの写真入り記事があったのをごらんでしたろう。昭和七年五月十五日に永田町の首相官邸で当時の首相であった犬養毅を射殺した一団のテロリスト将校がありました。前年にいわゆる満・・・ 宮本百合子 「ファシズムは生きている」
・・・武田麟太郎氏がそのトップに立っているのである。 然しながら、ここで云われている庶民性は、都会人性、町人性との区別を分明にしていない。庶民性そのものへの過剰な肯定があることから、散文精神なるものが従来の作家的実践のままでは、とかく無批判的・・・ 宮本百合子 「文学の大衆化論について」
・・・後者は、極地着陸のトップを切ろうと焦って、機体の検査をしなかったので、遭難してしまう。「俺はブリノフでなく、ベスファミーリヌイにならなくちゃならない」そう思いながらヴォドピヤーノフは、書きつづけて、北極征服の空想小説「操縦士の空想」をかき上・・・ 宮本百合子 「文学のひろがり」
・・・そういうギャップが現実にあるから舟橋聖一・田村泰次郎がこの不況にトップをきって売れているのです。 ここにAさんという人があります。Aさんという人は工場に働いています。それで文学好きです。文学を好きだという人は必ずより人間的な要求をもって・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
出典:青空文庫