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・・・ 近代国家イギリスを盛立てたエリザベス女皇の時代の社会の文学として、シェークスピアが、古代ギリシャ文学などに女が運命の神と男の掠奪のままに生涯を流転した歴史から出た当時の女が、自分の心情に従ってよくもわるくも動こうとする姿を描いているの・・・
宮本百合子
「若い婦人のための書棚」
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・・・しかし、シェークスピアは或る時代あれだけの演劇的活動をやったが、彼を贔屓にしたエリザベス女王が亡くなると、前から心がけよくためておいた貯金と土地と家とをもって、昔かれが若く貧乏であった時、領主の鹿を売ったということでいたたまらなくした故郷の・・・
宮本百合子
「私の会ったゴーリキイ」