出典:青空文庫
・・・と、女の咄から発して人生論となり、コントのポジティヴィズムに説き及ぼし、蜘蛛が巣を作るように段々と大きな網を広げて、終にはヒューマニチーの大哲学となった。女の写真屋を初めるというのも、一人の女に職業を与えるためというよりは、救世の大本願を抱・・・ 内田魯庵 「二葉亭余談」
・・・これは、かの新人競作、幻燈のまちの、なでしこ、はまゆう、椿、などの、ちょいと、ちょいとの手招きと変らぬ早春コント集の一篇たるべき運命の不文、知りつつも濁酒三合を得たくて、ペン百貫の杖よりも重き思い、しのびつつ、ようやく六枚、あきらかにこれ、・・・ 太宰治 「あさましきもの」
・・・一、題材は、春の幽霊について、コント。寸志、一枚八円にて何卒。不馴れの者ゆえ、失礼の段多かるべしと存じられ候が、只管御寛恕御承引のほどお願い申上げます。師走九日。『大阪サロン』編輯部、高橋安二郎。なお、挿絵のサンプルとして、三画伯の花鳥図同・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・というような前書で、それを形象化しようとしたコントを書き、そういうものをいくつか一篇として並べているのである。 この作品一つでどうなるというほど強烈なものではないけれども、横光に見るような主観的な高邁への憧憬にしろ「ひかげの花」の地につ・・・ 宮本百合子 「一九三四年度におけるブルジョア文学の動向」