出典:青空文庫
・・・船橋から、帰る日、私への徹底的な絶望と思って私がかなしんだ、貴方の言葉は今、特に絶対必要なありがたい力をあたえてくれています。ピカソも、マチスも見方によっては一笑に付されることを実行している。私の、この頃描いた絵は実行でなく申し訳であったと・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・面で、労働者、農民、小市民、中小商工業者、民族資本家までを含めた人民の統一戦線をよびかけながら、文化・文学の面に対したときだけは、小市民層の消極的な面だけをとりあげて叱咤、批難することがあるとすれば、ピカソをも包括する文化の民族的な線を学ぶ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ 例えばピカソの画についてどれだけの人がピカソの世界の必然性を実感するだろう。ピカソの画が分らないということは画が分らないということではない。スペインの頽廃した近代の歴史と、そこで生れたピカソがパリに暮して絵画の世界市場で自分の存在をあ・・・ 宮本百合子 「ディフォーメイションへの疑問」
・・・殆どすべての学者、芸術家がマドリッド政府の側に在り、有名なセロの名手、私たちに馴染ふかいパブロ・カザルスが全財産を寄附したり、画家ピカソがスペイン美術をファシストの砲火から守るためにマドリッドのプラド美術館館長に任命されたりしているというこ・・・ 宮本百合子 「文芸時評」