出典:青空文庫
・・・ 号令を掛けたのは我衛生隊附のピョートル、イワーヌイチという看護長。頗る背高で、大の男四人の肩に担がれて行くのであるが、其方へ眼を向けてみると、まず肩が見えて、次に長い疎髯、それから漸く頭が見えるのだ。「看護長殿!」 と小声に云・・・ 著:ガールシンフセヴォロド・ミハイロヴィチ 訳:二葉亭四迷 「四日間」
・・・―― 一九一七年から一八――一九年と革命のパルチザンに参加し立派に村を白軍の蹂躙から守った五十歳の貧農ピョートルが村ソヴェトの議長に選ばれたとする。 議長席に坐る。鈴を振る。タワーリシチ! と演説する。――みんな出来るが、いざ、さあ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・造船技術はピョートル一世がオランダ人から学んだ。ソヴェト市民の淳朴な感情には、民族的偏見というものがなくて、文明的な先進国として、資本主義国の文化にたいするものめずらしさや、判断を加えることを遠慮する感情があった、最も単純な列として、女のひ・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・銀鼠色の木綿服を着た若いアクスーシャとピョートルは、流れる手風琴の音につれて、そのブランコを揺りながら、今にも目にのこる鮮やかで朗らかな愛の場面を演じた。 第二芸術座、ワフタンゴフ劇場、カーメルヌイ劇場、諷刺劇場は、舞台を飾ることそのも・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・「行け……行け……」 往来へ出てゴーリキイが待っていると、その男も出て来てタバコをふかしつつ、黙ってゴーリキイを見詰めた。「あなたはチーホンですか?」「そうだよ」「ピョートルがやられたんです」「どこのピョートルだね」・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」