出典:青空文庫
・・・もそういう文学として世界にあまり類のない作品である。ルナールの「にんじん」の主人公は少年であるけれども、どうしてあの小説が既成の社会通念――大人の世界のものの考えかたの俗悪な形式主義への抗議でないといえよう。 デュガールの「チボー家の人・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・そこで少年が主人公ではあるが有名なルナールの「にんじん」をはじめとして。 きょう、そういう心理的な問題については、一般的にある程度は理解されている。女性にも一人一人の性格がある、ということを認めていると同じように。三十年という歳月は、ほ・・・ 宮本百合子 「歳月」
・・・ フランスの文学がルナールの「にんじん」で私たちに語っているのは、親と子という血の近さではうずめられない大人と子供の世界の、無理解や思いちがいという程度をこした惨酷さではないだろうか。 ドオデエの「プチ・ショウズ」は、フランス文学の・・・ 宮本百合子 「若き精神の成長を描く文学」