出典:青空文庫
・・・ベートーヴェンの作品でも大きなシンフォニーなどより、むしろカンマームジークの類を好むという事や、ショパン、シューマンその他浪漫派の作者や、またワグナーその他の楽劇にあまり同情しない事なども、何となく彼の面目を想像させる。 絵画には全く無・・・ 寺田寅彦 「アインシュタイン」
・・・ 要するにレビューというものはただ雑然とした印象系列の偶然な連続としか思われなかった。ワグナーの歌劇やハウプトマン、ズーデルマンなどの芝居などに親しんでいた当時の自分にはレビューというものは結局ただエキゾチックな玩具箱を引っくり返したよ・・・ 寺田寅彦 「マーカス・ショーとレビュー式教育」
・・・笑いやスペクタクルによって精神の集中を溶け去らせる愚民化の方法である。ワグナーがオペラをプロシア皇帝の治世の具として自薦したとき、はっきりそのことを云った。それでニーチェは、ワグナーと絶交したのだった。〔一九五一年一月〕・・・ 宮本百合子 「「下じき」の問題」
・・・ オペラを生んで、これほど大規模なものに育てあげたワグナー自身がドイツ皇帝ウィルヘルム一世にあてて書いた手紙をよむと、きょうのわれわれのオペラへの疑問が説明される。 ワグナーは晩年には、音楽は民衆をたやすく統治するための有効な手段だ・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」