うつせみ‐の【空蝉の】
[枕] 1 人間・世間・現世の意から「世」「世の人」などにかかる。「—世の人なれば」〈万・一七八五〉 2 蝉の抜け殻の意から「むなし」「わびし」などにかかる。「—むなしき恋に身をやかへてむ」〈新...
うつたえ‐に
[副](多くあとに打消しや反語を伴って)いちずに。むやみに。「—鳥は喫(は)まねど縄延(は)へて守(も)らまく欲しき梅の花かも」〈万・一八五八〉 「—かうておはすらんと思ひよらんやは」〈浜松・一〉
うつ‐の‐やま【宇津の山】
静岡市宇津ノ谷と藤枝市岡部町岡部とにまたがる山。南側に宇津ノ谷峠がある。[歌枕]「—うつつかなしき道絶えて夢に都の人は忘れず」〈秋篠月清集〉
うつら‐うつら
[副](スル) 1 《「うつ(空)」に接尾語「ら」の付いた「うつら」を重ねた語》 ㋐疲労などのために浅い眠りにひきこまれるさま。「熱が高くて一日じゅう—としていた」「退屈な話を聞かされてつい—す...
うとまし・い【疎ましい】
[形][文]うとま・し[シク]《動詞「うとむ」の形容詞化》 1 好感がもてず遠ざけたい。いやである。いとわしい。「名前を聞くのも—・い」 2 異様で恐ろしい。気味が悪い。不気味である。「深き山の...
うな‐さか【海境/海坂/海界】
海神の国と人の国とを隔てると信じられていた境界。海のさかい。海の果て。「即ち—を塞(さ)へて返り入りましき」〈記・上〉
う‐ぶね【鵜舟】
鵜飼いに使う舟。鵜飼い舟。《季 夏》「おもしろうてやがて悲しき—かな/芭蕉」
うべうべ・し【宜宜し】
[形シク]《副詞「うべ」を重ねて形容詞化した語。「むべむべし」とも表記》 1 格式張っている。もっともらしい。「面持ち声遣(こわづか)ひ、—・しくもてなしつつ」〈源・少女〉 2 頼みがいがある。...
うま‐い【熟寝】
ぐっすり眠ること。熟睡(じゅくすい)。「人の寝(ぬ)る—は寝ずてはしきやし君が目すらを欲(ほ)りし嘆かふ」〈万・二三六九〉
うまこり
[枕]美しい織物の意で、同意の「綾(あや)」と同音の「あや」にかかる。「—あやにともしき」〈万・一六二〉 [補説]「美(うま)き織り」の音変化した形か。