むかし‐の‐ひと【昔の人】
1 「昔人(むかしびと)」に同じ。「—ものし給はましかば」〈源・橋姫〉 2 昔、なれ親しんだ人。「五月まつ花橘の香をかげば—の袖の香ぞする」〈古今・夏〉
むせ・ぶ【噎ぶ/咽ぶ】
[動バ五(四)]《古くは「むせふ」》 1 飲食物をのどに詰まらせたり、煙を吸い込んだりして、息苦しくなる。また、そのようになってせきこむ。むせる。「たき火の煙に—・ぶ」 2 こみ上げる感情で息が...
むつ‐の‐みち【六つの道】
「六道(ろくどう)」に同じ。「わが頼む七の社(=日吉七社)のゆふだすきかけても—に帰すな」〈新古今・神祇〉
空(むな)しき骸(から)
なきがら。死骸。「恋しきにわびて魂まどひなば—の名にや残らむ」〈古今・恋二〉
空(むな)しき空(そら)
どこまでも果てしなく広がる空。大空。虚空(こくう)。「わが恋は—にみちぬらし思ひやれども行くかたもなし」〈古今・恋一〉
むねはしり‐び【胸走り火】
《「胸走り」と「走り火」とを重ねた語》胸騒ぎがして落ち着かない思いを、はじけ飛ぶ火にたとえていう語。「人に逢はむ月のなきには思ひおきて—に心焼けをり」〈古今・雑体〉
むばたま‐の【射干玉の】
[枕]「ぬばたまの」の音変化。平安期以後の形。「—闇のうつつは」〈古今・恋三〉
むべ【宜/諾】
[副]「うべ」に同じ。「吹くからに秋の草木のしをるれば—山風をあらしといふらむ」〈古今・秋下〉
むらさき‐の‐くもじ【紫の雲路】
《極楽には紫の雲がたなびいているというところから》極楽の空。「—にさそふ琴の音に憂き世をはらふ嶺の松風」〈新古今・釈教〉
むらどり‐の【群鳥の】
[枕]群鳥が、朝ねぐらを飛び立つところから、「群(むら)立つ」「朝立(だ)つ」「立つ」などにかかる。「—群立ち去(い)なば」〈万・一七八五〉 「—立ちにしわが名」〈古今・恋三〉