うき【憂き】
《形容詞「憂し」の連体形から》うさ。心をなやますこと。つらいこと。「幾層(いくそ)の—を洩(も)らしそめぬ」〈一葉・十三夜〉
うき‐かわたけ【浮き河竹/憂き河竹】
定まりのない、つらいことの多い身の上を、水に浮き沈みする川辺の竹にたとえ、「浮き」に「憂き」を掛けた語。遊女の境遇をいう。「恥づかしながらわたしが昔は—の傾城(けいせい)」〈浄・嫗山姥〉
うき‐な【浮(き)名/憂き名】
1 (浮き名)恋愛や情事のうわさ。艶聞(えんぶん)。「—が立つ」 2 つらい嫌な評判。悪い評判。「浮き」への連想から、「流す」「川」などを縁語として用いる。「—を西海の浪(なみ)に流し」〈平家・二〉
うき‐ひと【憂き人】
自分につらい思いをさせる人。つれない人。多く、恋人・妻などにいう。「天の戸をおしあけがたの月見れば—しもぞ恋しかりける」〈新古今・恋四〉
うき‐ふし【憂き節】
つらいこと。悲しいこと。「節」を「竹の節」に掛けていうことが多い。「世に経れば言の葉しげき呉竹(くれたけ)の—ごとに鶯(うぐひす)ぞ鳴く」〈古今・雑下〉
うき‐み【憂き身】
つらいことの多い身の上。
憂(う)き身(み)を窶(やつ)・す
1 身がやせ細るほど、一つのことに熱中すること。「恋に—・す」 2 あまり価値のない、非生産的なことに夢中になること。「浮き身」と書くことが多い。「賭け事に—・す」
うき‐め【憂き目】
つらいこと。苦しい体験。「落選の—を見る」「失恋の—にあう」
うき‐よ【浮(き)世/憂き世】
1 《もとは「憂き世」の意》仏教的厭世観から、いとうべき現世。つらいことの多い世の中。無常のこの世。「—をはかなむ」「散ればこそいとど桜はめでたけれ—になにか久しかるべき」〈伊勢・八二〉 2 死...
うきよ‐ぐるい【浮世狂ひ】
遊女に熱中すること。色ぐるい。「悋気(りんき)するではなけれども、—も年による」〈浄・出世景清〉