・・・(東京で治療を受けていた医者は神田神保町に暢春医院の札を出していた馬島永徳という学士であった。暢春医院の庭には池があって、夏の末には紅白の蓮の花がさいていた。その頃市中 わたくしは三カ月ほど外へ出たことがなかったので、人力車から新橋の停・・・ 永井荷風 「十六、七のころ」
上 政府が官選文芸委員の名を発表するの日は近きにありと伝えられている。何人が進んでその嘱に応ずるかは余の知る限りでない。余はただ文壇のために一言して諸君子の一考を煩わしたいと思うだけである。 政府は・・・ 夏目漱石 「文芸委員は何をするか」
・・・近き将来、各国から委員が集って充分商議の上厳重に処罰されるのはわかり切ったことである。又この事実は、ビジテリアンたちの主張が、畢竟自家撞着に終ることを示す。則ちビジテリアンは動物を愛するが故に動物を食べないのであろう。何が故にその為に食物を・・・ 宮沢賢治 「ビジテリアン大祭」
・・・多くの人々が、この問題の本質上、今日ではもう個人的解決の時期を全くすぎていて、これは人民的規模において、男女共通に、共通の方法に参加して、各種の管理委員会をこしらえて、自主的な圧力で改善してゆくことに決心したら、どんなに早く、解決の緒につく・・・ 宮本百合子 「合図の旗」
・・・奥の方には「工場委員会」「コムソモール・ヤチェイカ」と札が出ている。みなさんも知っているとおり、ソヴェト同盟では工場を男女労働者自身で経営している。工場の大衆から選挙された工場委員会があって、その委員会がいくつかの専門部に分れている。例えば・・・ 宮本百合子 「明るい工場」
・・・彼女たちの職場と個人個人の生活の雰囲気が、タフト・ハートレー法案にたいしてなんの反対も感じず、アメリカ人口の二パーセントを益するにすぎない所得税法に無関心であり、彼女たちの感情が非アメリカ委員会の活動ぶりに民主的市民としての疑問をいだいてい・・・ 宮本百合子 「新しい潮」
・・・出版綱領実践委員会が集って日本の出版の浄化のために幾たびか協議しました。その過程で非常に注目すべきことがあった。エログロ出版物を駆逐するために、警察力を使えということ、新しい取締法律をつくれという意見が伝えられました。しかし、猥褻罪を取締る・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・常任中央委員会から左翼的逸脱の危険を、警告されたのであった。このときは、山田清三郎が、右翼的日和見主義の自己批判を発表した。当時「ナップ」の書記長は山田清三郎であった。「前進のために」をよむと、誤りをみとめつつ、なお林房雄などの卑劣さに対す・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十巻)」
一九四五年の八月十五日からのち、日本の民主化がいわれるようになってから、いくつかの民主化のための委員会がつくられた。文化関係で、ラジオの民主化のための放送委員会、軍国主義の出版統制の遺風を民主化するための用紙割当委員会、出・・・ 宮本百合子 「「委員会」のうつりかわり」
第一私どもの目からみると議会内の大蔵委員会という重要な新給与予算の委員会席上で、あんなに酔うほど酒がでるということがそもそもひどいことだと思います。なにもうちでのめない連中ではなし、ごあいきょうの程度をこえています。公務員・・・ 宮本百合子 「泉山問題について」
出典:青空文庫