・・・ために行われている男女の勤労というものの価値が時間と金にだけ換算される時代がすぎて、もっと人間の社会生活の組織という点から高く評価されるようになれば、婦人の職業も、もっと人間的生活と統一したものとして改善されてゆくと信じます。〔一九五一・・・ 宮本百合子 「生きるための協力者」
・・・まだまだ生活の実際では主食のことから住居のことからまったく自由でない苦しい生活のなかで、その苦しさと闘いながらすこしでも苦しさの原因となっている今日の社会の矛盾を改善してゆこうと努力する若い婦人であるならば、恋愛の相手としてヤミ屋の親分がえ・・・ 宮本百合子 「生きるための恋愛」
・・・人間らしい生活を作るために色々の条件を改善して行くべきである。そういう声がどこでもきかれるようになりました。それは全く当然であると思います。何のために戦っているのか本当には分らない戦のために、非常に沢山の人が殺され、国民の生活が破壊されるの・・・ 宮本百合子 「美しく豊な生活へ」
・・・大河内氏もいわれたとおりいろいろの社会的施設の不備について改善を要求する発言をしていろいろの行動をしているのです。デモとかストライキをする。しかし権力はそういうことを禁じる。そういう要求によって、いろいろな行動をしたり発言したりする人を引張・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・然し、既に今日の現実の中では、わが個性の確立、発展の欲求を自覚すると同時に、実際問題としてそれを制約している事情との日常的な相剋があり、社会的事情の改善なしに個性の発揚は不可能であるという客観的事実を示している思想は、空な一流派の流行とかそ・・・ 宮本百合子 「落ちたままのネジ」
・・・何も改善されない。又、元のいつでも争いを起し得る固執状態が帰って来る。 来年の新年を、林町へ「お目出とう」を云いに行くことも出来ないのかと云う予想は、自分に涙を浮ばせずには置かないのである。 自分に生活の、愛の確信があり、自分と彼女・・・ 宮本百合子 「傾く日」
・・・ その一つであって二つにわかれたもののようにある重い条件をひっくるめて、私たちは自分の生活として持って、毎日の生活の中で、外ならぬ自分たち二人でそれを最善に向かって改善してゆくしかない。若い世代の結婚や家庭の持ちかたに見出されるべき新し・・・ 宮本百合子 「結婚論の性格」
・・・ 封鎖された金は、人民生活の改善のために使われようとはしていない。政府は、モラトリアムまで布きながら、今だに、軍需産業への補償というようなことを云っている。「欠損をしている」のは、帳面づらだけだと、誰にも分りきった軍需生産者、つまるとこ・・・ 宮本百合子 「現実の必要」
・・・ 私たちは、今日の日本の立て直しと、自分たちの生活改善の実際の必要に立って、その立場から政党を選んでゆくのが、一番正しいと知っております。 例えば、今私たちの目の前に河があります。流れは急で、一人一人ではとても歩いて渡れません。うし・・・ 宮本百合子 「幸福のために」
・・・極めて当然な賃銀値上げ、待遇改善を要求しても直ぐ警察だ。学生や職場の大衆が知識欲をみたすための罪のないサークルや読書会をもっても二十九日、又それをむしかえしての拘留を食う。 留置場に長くいればいるほど、権力の手のこんだ専暴と、人民は無権・・・ 宮本百合子 「刻々」
出典:青空文庫