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・・・すらすらと読める文章を書こうとして、土台をがっちり打ちこむことをおるすにし、その文章の上でさえ、大衆のかたまった力、熱、メリハリを再現することに失敗している。 この正月、徳永直が何かで菊池寛その他ブルジョア作家のうまさということをいい、・・・
宮本百合子
「文芸時評」
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・・・奔放で傍若無人な美代子が婦人部長としてはがっちり働いてゆきつつ重吉に対する佳子の傾倒にちょいと意地わるしたりする動きがよくとらえられている。重吉にうかれる佳子が雛菊寮の中の共産党毛ぎらいのふん囲気におのずから一致しかねているところも無理がな・・・
宮本百合子
「『労働戦線』小説選後評」